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tag : interior / furniture
date : December 2017
store : yacht
site : 4-10-24 Daita Setagaya Tokyo
space : 40㎡
material : birch plywood , urethane foam
cooperation:大森皓太 / Kota Omori

各種音楽専門メディアでお馴染みのスペースシャワーネットワークが運営する、アパレル工房兼ギャラリー“yacht”の設計施工プロジェクト。衣類に直接印刷が可能なガーメントプリンターと全自動刺繍機を備えた、一枚の衣類を作ることから地域の拠点となることを考えた計画である。
計画地は都心の駅前路面、もともとはプラスターボードで覆われた簡素な居抜き物件だった。テナント貸し物件の多くは退去時に現状復帰が求められるように、このプロジェクトでも最終的には改修前のがらんどうな空間に戻すことが求められている。そこで、新しい壁をつくる、あるいは構造を露出するといった骨格的な操作ではない、床壁天井の簡易的・表皮的な場の作り方について考えてみた。ともするとチープで軽薄なものになりがちな「がわ」の更新の仕方を見直すことで、周囲の状況を巻き込む軽やかな場作りがはじまった。
グリッドフレームの縦板は、9mm合板3枚を圧着して作られたプレバネルを現地組み立て仕様とした。棚板-縦板接合部の溝加工が不要で容易に組み上げられるこの構法を用いて、空間全体に升状の大棚を構成している。施工の簡易さはコストコントロールだけでなく、場を作るプロセスからクライアントやその周囲にいる人たちとの協働を可能とし、結果的に地域のハブを目指すこの場所の第一歩としての役割を担った。壁と天井は、楽器や機材の緩衝材としても多用される波形プロファイル型ウレタンフォームを採用。アコースティックライブなどに対応できるレベルの防音性能を備えた、音楽産業を牽引するクライアントを象徴する素材として用いている。
このプロジェクトは浜松を拠点にする私たちが、東京という遠隔地において設計から施工までを一貫して、しかもそれが初回打ち合わせから竣工まで1ヶ月半という凝縮した期間で実施された。限られた期間であったからこそ生みだされた、開かれたプロセスを経て実現した、設計と施工をひとつなぎにした建築である。