curtain

tag :interior / renovation
date : june 2019
store :  curtain
site : Nakaizumi Iwata Shizuoka
space : 19㎡

6坪にも満たないとても小さな美容室を設計した。
元々は物置小屋として使用されていた、木造二階建ての小さな倉庫の1階部分を、新しく美容室へと改修したプロジェクトである。
飲食店ほどの厳格さではないが、もちろん美容室の開業にも保健所への申請が必要だ。6坪未満ともなると、どうにか上手く床面積をやり繰りしなければ認可されない可能性があった。
少ない平面を最大限有効活用するのであれば、全ての要素を四周壁付とし、なるべく中央のクリアランスを広く取ることが定石だろう。しかしここではまず鏡台を空間の中心に配置した上で、その周囲に各要素を展開していった。倉庫ゆえの3m強あった天井高を利用して、鏡台自体は電動ウインチによる昇降式、上部に格納できるかたちにした。撮影や清掃などの際には吊り上げることで、ヘアカット以外の用途へ床を明け渡すことができる。また、天井は顕しのまま、壁面はFRPクリア鉄板大波とグレーのカラーMDFを使用。各什器は節の少ない針葉樹合板で統一し、機能的・コスト的にミニマムな構成となっている。
日本建築における建具は、水平方向に移動することで空間の変質性を担保している。それと同様に、鉛直方向に動くエレメントがあっても良いのではないか。物理的に動くということは、それだけで空間を劇的に変容させる力がある。6坪にも満たない極小の空間だからこそ、その効果はどこより大きくなるはずだ。